1. はじめに
ここ数年、「パパ活」が社会的認知されるようになり、それをテーマにした本や記事も増えています。リアルな体験談から社会学的な分析まで、パパ活という現象を多角的に見ることができるようになってきました。
そんなパパ活をテーマにした書籍やコミックをいくつか目を通してみましたので、気になった作品をいくつかご紹介します。これを読んでパパ活の世界に飛び込むか、尻尾を巻いて逃げ出すかは、あなた次第です。
2. 「六〇歳からのパパ活 日々、悶々としているそこのあなたへ」
2-1. 年齢を超えたパパ活の実態
この本では、60代という年齢に達した男性がパパ活に参加することで、再び人生の楽しみを見つけていく様子が描かれています。年齢による体力や健康の問題を抱えながらも、若い女性と接することで、失いかけていた活力を取り戻す姿が印象的です。著者は55歳で離婚されているので、多くの既婚男性がパパ活をするのとは少し事情が異なるので、100%共感というわけにはいかないかもしれません。
2-2. 人生を楽しむためのパパ活の考え方
帯に「紳士たちよ、もっと楽しく生きるべきだ!」と書かれている通り、パパ活は単なる金銭的な取引ではなく、人生の充実を見つける一つの手段でもあるということを伝えようとしています。世間の目を気にすることなく、人生の最終章に新たな彩りを加えるためのパパ活の可能性が描かれているのですが、良い大学を出て大手企業に就職し、キャリアや資格をしっかり重ね、さらに賃貸アパート経営で封入を得ている意識の高い人であり、真似するのはなかなかハードルは高そうです。

3. 「パパ活女子」
3-1. パパ活を通じて見える女性の本音
ノフィクション・ライターが取材を行い、パパ活を行う女性たちのリアルな声を集めた本です。性をお金で買おうとする男性と、嫌悪する覚える中年男性からお手当を得るために我慢しながら対応する状況がストレートに書かれているのが印象的。特に女性が社会で受けるプレッシャーや葛藤が垣間見え、ちょっと切ない気持ちになるかもしれません。
3-2. やめたくてもやめられない複雑な心理
著者はパパ活に対して肯定も否定もせず、あくまで中立的な立場で執筆されています。そのため、登場する体験者の声はそのまま伝わってきます。中には、「そんなに嫌ならやめればいいのに」と言いたくなる内容もあり、複雑な心境になる人も多いでしょう。特にパパ活を考えていない人も、社会の裏側を知るには良い一冊だと思います。

4. 「ルポ パパ活」
4-1. 社会的視点から見るパパ活の問題
交際クラブのパパ活面接官での体験をもとに、パパ活に参加する男女へのインタビュー取材を行い、社会問題としてパパ活を取り上げたルポルタージュ。リアルな現場の状況を知るにはうってつけの一冊で、交際クラブやマッチングアプリなど、パパ活の行われる仕組みについて詳しく解説されています。
4-2. 取材を通じて見えてきたリアルな実態
著者が取材を通じて得た女性たちの体験談には、パパ活におけるメリットだけでなく、その裏に潜む危険性がリアルに伝わってきます。お手当や性的な関係に関するトラブルなど、パパ活の光と影が鮮明に描かれています。

5. 「パパ活の社会学〜援助交際、愛人契約と何が違う?〜」
5-1. パパ活を学術的に分析した視点
パパ活を社会学的な視点で分析している本です。援助交際や愛人契約とパパ活がどのように異なるのか、また、パパ活が社会に与える影響についても詳しく解説しています。しかし、実際には「パパ活は違う」と言っている当人たちがそう思っているだけで、読者からすると愛人や援交と一緒では?と疑問を抱きそうです。
5-2. パパ活をうまく利用する人々
パパ活に関わる男女へのインタビューを行い、お手当の相場や、関わる人々の年齢や職種、マッチングする交際クラブについてリアリティのある情報を捉えています。登場する人々は、パパ活を一つの文化としてうまく利用しようとしている傾向があり、否定派の人には不快な印象を受けるのはないでしょうか。

6. 「パパ活を語る普通のOLアラサー女子」電子コミック
6-1. パパ活に踏み出す女性たちのリアルな葛藤と選択
ピッコマ、LINEマンガ、めちゃコミック、コミックシーモアなどのプラットフォームで配信されている電子コミックで、同名のブログが題材になっています。タイトル通り、パパ活に踏み出した普通のOLの女性が抱える葛藤や選択をリアルに描いており、漠然とした将来への不安が彼女を突き動かしていく様子が描かれているのですが、ソフトタッチなマンガなのでそこまでドロドロした印象はありません。
6-2. 現代の社会でパパ活を選ぶ理由とその背景
現代社会でなぜ普通に会社で働いている女性がパパ活の世界に踏み込むのか、その背景にも焦点が当てられています。物語は軽妙なタッチでありながらも、男たちの醜悪な姿やそれを受け入れざるを得ない女性の複雑な心理が痛いほど伝わってきて、パパとして自分の行動は大丈夫なのか振り返るきっかけにもなります。女性の幸せが結婚だけではない風潮になってきてはいますが、では結婚以外の幸せって何なのか?男女ともに考えなけれならないテーマを突きつけられているようにも感じました。

7. まとめ
パパ活をテーマにした本やコミックは、それぞれ異なる視点からこの社会現象を捉えており、いじれも興味深いものばかりです。一見シンプルなパパ活は単なる金銭的なやり取りだけでなく、人間関係や社会の問題、個人の葛藤などが絡み合った複雑な世界です。これらの本やコミックを通じて、パパ活の本質をより深く理解できるはずです。
これまでご紹介した書籍やコミックは、それぞれ異なる立場や視点からパパ活という現象を捉えています。60代の男性がパパ活を通して人生の新たな楽しみを見つける姿から、パパ活女子たちの本音、そして社会学的な分析に至るまで、パパ活というものがどれだけ多面的な現象であるかが浮かび上がってきました。
また、電子コミック「パパ活を語る普通のOLアラサー女子」では、日常生活の中でパパ活に踏み出す女性たちの姿が描かれており、現代の女性が抱える経済的、心理的な問題がリアルに描写されています。現代社会の中でパパ活がいかに普通の選択肢となりつつあるかを、コミックという形で軽やかに表現しつつも、その裏にある深い社会的背景を感じ取ることができます。
パパ活に興味がある方や、すでに経験している方にとって、これらの本やコミックは非常に参考になるだけでなく、自分自身の体験や感じていることを整理するための一助となるでしょう。いずれも、パパ活に関わる人たちがどのように感じ、どのように行動しているのかを知ることができ、社会の中で自分がどのように立ち位置を取るべきかを考えるきっかけになるかもしれません。
最終的には、パパ活は個人の選択であり、その選択が正しいかどうかは自分自身が決めるものです。しかし、その背景には複雑な感情や社会的な問題があり、パパ活を単純に捉えることはできません。こうした書籍やコミックを読むことで、パパ活のリアルな側面を知り、自分にとって最適な選択を見つけていく手助けになるでしょう。